フットボールチャンネル

日本代表 6年前

中東のエキスパートも語る。日本代表が突くべきサウジアラビア代表の弱点とは?

text by 舩木渉 photo by Getty Images

サウジアラビアが根本的に抱える大きな弱点とは

 もう1つ、サウジアラビアがセットプレー時に抱える弱点は平均身長の低さである。基本的に身長の高い選手から優先してゾーンディフェンス要員になるため、センターバックのアリ・ハジ・アル・ブライヒ(182cm)やモハメッド・アル・ファティル(180cm)などがゴール前に立つ。

 するとマンツーマンで相手の長身選手のマークにつくのが、アル・ムワラッド(165cm)やヤヒア・アル・シェフリ(165cm)、ハタン・バーブリ(170cm)といった小柄な選手たちになってしまう。これではマークしていないも同然だ。

 そもそもサウジアラビア代表には185cm台後半の選手がほとんどおらず、それこそがセットプレー時の守備の不安定さを招いている大きな要因にもなっている。日本戦で今大会は負傷によって欠場が続いていたキャプテンのオマル・ハウサウィが復帰し、この身長185cmを誇るベテランセンターバックが豊富な経験で守備に安定感をもたらすのではないかと期待されているが、高さで分が悪いのは変わらない。

 日本代表には吉田麻也(189cm)を筆頭に、冨安健洋(188cm)、酒井宏樹(183cm)といった長身選手が揃い、遠藤航(179cm)や武藤嘉紀(178cm)も空中戦を苦にしない。もし塩谷司(182cm)がボランチで起用される、あるいは大迫勇也(182cm)が復帰するといったことがあれば、高さではさらに優位に立てる。彼らが勢いよく飛び込んでいくことで、サウジアラビアの守備に混乱をもたらすことができるだろう。

 日本代表がグループリーグ初戦のトルクメニスタン戦や第2戦のオマーン戦を踏襲したメンバーでサウジアラビア戦に臨むとすれば、おそらくメインのキッカーは柴崎岳になる。そこに堂安律なども加えて変化をつけながら、精度の高いボールをゾーンディフェンスとマンツーマンディフェンスの間に供給できれば大きなチャンスが生まれるはず。

 今大会まだ一度も成功していないセットプレーからゴールを奪えることが証明できれば、準々決勝以降の戦いにおいても大きな武器になるのは間違いない。サウジアラビア戦はどちらのチームがボールを握って主導権を握るのか、そしてセットプレーでのゴール前の攻防に要注目だ。

(取材・文:舩木渉【UAE】)

【了】

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!