鍵になるコーナーキック
日本は2017年の対戦でポゼッション率47:53と上回られ、ボールを握らせてもらえらなかった。21日の試合で同じような展開になることも想定できるだけに、勝つためにはセットプレーの攻略は重要なポイントになる。では、どのようにゴールへの道筋を見つけていくか。蹴るポイントが常に一定で比較しやすい左右のコーナーキックの場面を参考に紐解いていきたい。
まず、サウジアラビアはコーナーキックの守備においてゾーンディフェンスとマンツーマンマーキングを併用している。ロシアワールドカップではマンツーマンディフェンスのみ、昨年11月16日のイエメン戦までは同様の形で守っていたが、同月20日のヨルダン戦から突然守備のアプローチを変えた。
ただ、これはあまりうまくいっていないようだ。サウジアラビアのコーナーキック守備では、基本的には身長の高い3人ないし4人をゾーンディフェンス要員としてゴールエリア近辺に均等な間隔で配置し、1人をキッカーとゴールの間でコーナーフラッグにできるだけ近い位置にストーンとして1人、ボールが飛ぶであろうコース上に1人、ボールに近いサイドのペナルティアーク付近に1人を置く。残るフィールドプレーヤー3人は、飛び込んでくる相手の中で高さがあって危険そうな選手に優先して予防的にマークにつく。
担当エリアを持つゾーンディフェンス要員とニアサイドのストーンを除けば、あとはキッカーの利き足やショートコーナーの可能性、ペナルティエリアに入ってくる相手の数、GKの前に妨害に入る選手の有無などで微妙に配置が変わっていく。GKを妨害しようとする選手にはしっかりとマークをつけて対処し、壁のように立つニアサイドの選手を1人削るといった具合だ。
ここで守備が機能しない要因は、ゾーンディフェンスの選手たちが飛び込んでくる相手に気を取られて担当エリアをおろそかにしたり、無闇にスペースを空けてしまったりする現象が見られるところにある。カタール戦ではGKを妨害するようにニアサイドのゴールポスト近くに立っていた相手FWアルモエズ・アリを見失い、あっさり人と人の間に入られてフリーに近い状態でヘディングシュートを許した。