難敵サウジアラビアのキーマンは?
サウジアラビア代表は全員が自国リーグ所属選手で構成されている。ところがサウジ・プロフェッショナル・リーグの得点ランキング上位には元フランス代表のバフェティンビ・ゴミスをはじめ、外国人ばかりが名を連ねている。現在8得点のアル・サイアリは7位、7得点のアル・ムワラッドが8位タイと地元の選手たちの存在感は薄い。ロシアワールドカップで10番を背負ったベテランFWモハメッド・アル・サフラウィもリーグ戦での不振が響いてアジアカップ出場を逃した。
とはいえ中盤にはピッツィ監督が標榜するテクニカルなサッカーを可能にする人材が揃っている。その中でも要注意なのは4-1-4-1のアンカーに入るアブドゥラー・オタイフ。グループリーグ3試合全てに先発起用された司令塔は、チーム最多の274本のパスを蹴った。そのうち半数以上の162本を敵陣内で記録している。それだけチームとして相手を押し込みながら戦えていたということであり、戦術的なキーマンであることに疑いはない。
シュアイブ氏も「オタイフは間違いなくチームの出来を左右する選手」と太鼓判を押す。そしてもう1人の隠れたキーマンに挙げたのが、モハメッド・アル・ブライクだった。背番号2の右サイドバックについては「90分間アップダウンを繰り返せる驚異的な運動量が最大の特徴で、攻撃的に振る舞ってクロスやシュートに絡める。オタイフのパスと絡むことで大きな武器になる選手」と評していた。
そしてサウジアラビアにはグループリーグ初戦で負傷したヤセル・アル・シャフラニが日本戦で復帰予定。「サウジのマルセロ」とも称されるクロスやカットインなど多彩な能力を持つ左サイドバックの帰還も追い風になりそうだ。
ボールポゼッション時には強みを発揮でき、それを実現するための人材も揃っているサウジアラビアだが、不安材料もある。シュアイブ氏が最大の懸念点に挙げたのは「セットプレー守備の脆弱ぶり」だった。
これは吉田も「ちょっと集中力を欠くシーンが多い」と指摘しており、日本側の分析とも合致する。敗れたグループリーグ最終戦のカタール戦ではコーナーキックからあっさりと失点しており、それ以外の試合でも危険な場面を何度も作られていた。