謙虚さと力強さ
リードを奪ってからはボールを動かしながら隙を探り、セビージャが前がかりになったところを突こうとする。92分、モドリッチが敵陣でプレスを敢行。相手からボールをかっさらうと自ら持ち込み、GKとの一対一を決めて勝負あり。セビージャも鋭いカウンターからゴールへ迫る場面もあったが、この日は不発。マドリーが思いの外あっさりと勝ち点3を手にした。
この日のマドリーはボールを奪われた後の切り替えが速く、プレーにも鬼気迫るものがあった。特にモドリッチは前半途中に流血しながらもハードワークし続けた。むしろ後半になってギアが上がり、相手にとって危険な位置にどんどん顔を出した。58分にはボックス内でリターンパスを受けると、強烈な右足シュートを放っている。
この日、モドリッチは4本のシュートを放ち、決定的なパスも4本出した。空中戦や球際でもファイトし、2つのインターセプトを記録。115回のボールタッチでパス数は83本。パス成功率85.5%にまとめた。
何より試合の最終盤でも集中力を保っていたからこそ、勝負を決める2点目を挙げることができた。そのまま流していても勝利していたかもしれない。最後まで意欲的にプレーしたモドリッチの姿を見ても、勝者に値したのはマドリーの方だった。
今回はマドリーが90分を掌握したが、今後も低調なパフォーマンスを見せることはあるだろう。しかし、セビージャ戦で得たものは少なくない。ハードワークという原点を思い出したかのような戦いぶりからは謙虚さや力強さが感じられた。これ以上崩れることはないのではいか。
(文:青木務)
【了】