2トップの印象的なプレーは守備?
チェルシーのストロングポイントを確実に消し、そして相手の弱点を見事に突いたアーセナル。中でも印象的だったのは2トップの動きだ。
ラカゼットは見事な先制ゴールを叩き込んだだけではなく、守備にも非常に献身的な姿勢を見せ、後ろの選手に余裕を与えた。先にも述べたように、同選手はサイドでタメを作り出し、カウンターへと繋げるいわゆる中継役もしっかりと果たしている。
ラカゼットのタッチ数は39回だったが、そのうちの約半分は自陣でのもの。しかし、低い位置でボールを受け組み立ての部分に加わりながらシュート数は全体のトップに位置する3本放つなど、ゴール前ではストライカーとしての仕事もしっかり果たした。後半途中で交代となったが、攻守両面において頼もしい存在だったと言えるだろう。
そしてピエール=エメリク・オーバメヤン。同選手もこの日、抜群のスピードと果敢にシュートを狙う姿勢を見せ、チェルシーディフェンス陣の脅威となった。17分にはセサル・アスピリクエタからボールを奪い、持ち味の速さを生かして単独でフィニッシュまで持ち込んでいる。ラカゼット同様、オーバメヤンも3本シュートを放つなど、攻撃面での存在感はやはり際立っていた。
しかし、チェルシー戦における同選手の最も印象的だったプレーはディフェンスである。オーバメヤンは最終ラインまで下がって味方の守備をサポートし、身体を張り続けた。18分、アーセナルのピンチの場面ではE・アザールに対し激しいタックルを見舞うなど、DF顔負けのプレーでチームを救い出したのだ。
オーバメヤンはこの日、FWながらチームで5番目タイに多い3回のタックルを成功させており、ラカゼットと同じく、守備面での貢献度はかなり大きかった。そしてラカゼットより評価できるのは、そうしたプレーを90分間続けたことだ。この二人の献身性は間違いなく勝利の原動力となったはずである。
実力を示しながら奪ったこの勝ち点3は今後、アーセナルにとってどのような効果をもたらすだろうか。エクトル・ベジェリンの負傷は心配だが、ここからさらにし烈を極めそうなプレミアリーグのトップ4争いに、最後まで食い込みたいところだ。
(文:小澤祐作)
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