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アーセナル、実力を示した最高の90分間。チェルシー戦勝利の原動力となった2トップの働き

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

チェルシーが苦しんだ前半

 勝負の分かれ目はやはり前半の出来だった。立ち上がり良い入りをみせたアーセナルがそうしたポジティブな流れを切らさずに2得点を奪ったことで、ペースは完全にホームチームのものになったのだ。逆にアウェイチームは試合開始からまもなくしてアーセナルの“戦い方”に苦しんだ。

 チェルシーは1トップにエデン・アザールを配置したが、もちろん彼は典型的なCFではないため、ある程度の自由が与えられている。この日も、同選手は右に左にと幅広いエリアに顔を出し、攻撃のサポートに回っていた。そしてチェルシーの攻めの起点となるのは左サイド。マルコス・アロンソがかなり前に出てくるため、必然的に同サイドからの崩しが多くなるのだ。

 そしてもう一人、ジョルジーニョの存在を忘れてはならない。サッリ・チェルシーにおいて同選手は必要不可欠な存在となっており、攻撃のスイッチを入れるのはこの男の役目だ。対戦相手からすれば、ジョルジーニョ封じは必須となるのである。

 こうしたチェルシーの長所をアーセナルは消し、そして逆手に取った。

 まず、ジョルジーニョにはアーロン・ラムジーがしつこくマークに付き、自由を奪った。もちろんイタリア代表MFがボールを触る機会はあったが、ラムジーは的確にパスコースを消し、前線に効果的なパスを収めさせず。ジョルジーニョはパス本数こそ81本で全体のトップに立ったが、ゴールに直結するようなキーパスは0本に抑えられている。

 そして、M・アロンソの攻撃参加で手薄になっている左サイドを重点的に狙ったのはアレクサンドル・ラカゼットだ。同選手はカウンター時に左サイドへ流れパスを呼び込むと、そこでボールを受け味方が押し上げるまでキープ。そして2列目の選手が上がってくるのを確認しボールを預け、数的優位な状態を作り出すなど、ある意味カウンターの起点となっていたのだ。

 これによりチェルシーは最終ラインを深い位置に下げられ、ビルドアップの開始位置が低くなる。よってアーセナルの守備陣はしっかりとラインを押し上げた状態でチェルシー攻撃陣を迎え撃つことができたということだ。

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