過去の“依存”を起こさないために
戦い方の部分では、複数の組み合わせをテストできたのが大きかった。1次リーグ3試合で攻撃陣を入れ替えるというのはどの監督もよくやる手法だが、森保監督はセンターバックとボランチも毎試合変えてきた。これは特筆すべき点だ。
センターバックに関しては、初戦は吉田麻也と槙野智章、2戦目は吉田と冨安健洋、3戦目が槙野と三浦弦太で行き、コンビを熟成させた。カウンター対策やリスクマネージメントの部分でまだまだ不備は見られたものの、今後のタフな戦いを前にどういう組み合わせでも行けるような準備をしたのは大きかった。
ボランチも、初戦は柴崎岳と冨安、2戦目は柴崎と遠藤航、3戦目は青山敏弘と塩谷というコンビで戦った。青山は「今は岳と航のコンビがベストだと思う」と素直に認めていたが、ウズベキスタン戦に勝利したことで塩谷とのコンビが新たなオプションになったという自信を抱いたようだ。
2011年カタール大会のアジア制覇の際は、センターバックは吉田と今野泰幸がベースで、彼ら以外が出ると少し力が落ちる傾向があった。ボランチに至っては遠藤保仁と長谷部誠のコンビがあまりにも絶対的で、バックアップがいない状態だった。
遠藤・長谷部コンビは次の2015年オーストラリア大会まで君臨し、遠藤が去った後も長谷部依存の状態がロシアまで続いた。こういったケースがないように森保監督はさまざまな組み合わせにトライしているのかもしれない。「総合力」という言葉を指揮官はよく口にするが、リスク覚悟でその体制を構築するためにトライを続ける姿勢はポジティブに捉えていいだろう。
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