乾が良さを発揮するための条件とは?
仮に乾が厳しいと判断されれば、今後の森保ジャパンにおける30代アタッカーの扱いにも影響することも考えられる。その筆頭が3月に30歳の誕生日を迎える香川真司。
彼も3年後の2022年カタールワールドカップを視野に入れているベテランだが、今季所属クラブではご存知の通り、構想外に近い扱いを受けている。今月中に欧州内移籍を目指しているが、その動向も不透明なままだ。指揮官がわざわざ昨年11月の欧州視察の際に彼のところを訪ね、状態確認をしたのを見れば、少なからず期待を抱いているのは間違いない。
ただ、次の招集機会になるであろう6月のコパ・アメリカで精彩を欠けば、そのまま呼ばれなくなることも十分あり得る。そのくらい30代アタッカーを取り巻く環境は険しいのだ。
今大会で苦しみながらラウンド16に進んだ日本が、次なる相手・サウジアラビアを撃破し、ファイナルまで辿り着くことになれば、残りはまだ4試合ある。そうなれば、乾にも再びチャンスが巡ってくるはず。そこで今回以上にゴールに直結するプレーを増やし、効果的な攻めを繰り出し、守備面での貢献度も高まれば、指揮官を含めた周囲の見方はより前向きなものになるはずだ。
もう1つのポイントが、次の出場機会で慣れ親しんだ長友とタテ関係を形成できるか否か。これも乾が良さを発揮するために重要な部分だ。
「貴士が持ってる時に俺だったらこうするというイメージを沸かせながら見ていたんで、全然問題ないですよ。彼とやるのは」と長友もコンビ再結成を熱望していた。それを披露できないまま今大会から去ることだけは乾自身も避けたいだろう。
今回のウズベキスタン戦は物足りなさが残っただろうが、いったん気持ちを切り替えて、残されたチャンスに賭けること。本物の乾貴士のパフォーマンスを取り戻すべく、彼には最大限の努力を払ってほしい。
(取材・文:元川悦子【UAE】)
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