尊敬する“ボンバー”の現役引退
アジアカップやアジアの国の代表戦は、馴染みのある選手と再会できる場でもある。かつてJリーグでプレーしていたり、自分が取材したことのある選手と久々に会えば、そこには自然に笑顔も生まれる。
オーストラリア代表のDFミロシュ・デゲネクとは、15日に行われたアジアカップのグループリーグ最終戦・シリア戦後の取材エリアで約8ヶ月ぶりに顔を合わせた。最後に話しを聞いたのはロシアワールドカップ出場のために代表チームへ合流する直前で、彼は大会後にそのままヨーロッパへ移籍してしまったため日本に帰ってくることはなかった。
「ニホンゴ、ウマイ!」
取材エリアで顔を合わせて話し始める時、デゲネクの第一声は日本語だった。確かに「ウマイ」。先制しながら2度追いつかれ、後半アディショナルタイムにトム・ロジッチのゴールでなんとか勝ちきったオーストラリアはグループBの2位で決勝トーナメントに進出。出場停止と負傷によって欠場者を多く抱え、チーム全体のパフォーマンス自体も良くはなかったが、ひとまず最初のハードルを越えたことで表情も明るかった。デゲネクも苦戦を認める。
「見て分かる通りすごく難しい試合だった。多くの負傷者がいて、きつい試合になるのはわかっていた。でも次の試合が楽しみだ。もっと成長して、チームとしても向上して、次の試合に向かいたい」
いつも通りの真面目な受け答えだったが、決勝トーナメント1回戦では日本代表と対戦する可能性もあることに触れると「旧知の友人たちにも会える。もちろん僕は日本や日本代表のことをすごくリスペクトしているから、(実現すれば)素晴らしい試合になるだろうね」と次のステップを楽しみにしているようだった。
とにかく聞きたいことがたくさんある。1つは横浜F・マリノス時代に1年半にわたってコンビを組んだ中澤佑二の現役引退について。その話題を振ると、デゲネクは「オ〜!」と天を仰いだ。Jリーグでプレーしていた頃から日常的に中澤を「日本でもアジアでも最高のDF」と称え、その隣で戦えることを意気に感じていた24歳は、やはり“ボンバー”への尊敬の念を隠さない。
「(引退を知って)本当にびっくりした。僕はボンバーのことが大好き。ボンバーのことをリスペクトしている。彼は最高の選手。(移籍してしまって)日本に行ってボンバーに会えなかったことがすごく残念だ」
さらにデゲネクは「いつかまた日本に帰るつもりだから、そこでボンバーに会って、いろいろなことを話したい。僕の愛する街、横浜にまた帰りたい。日本は世界で最高の国の1つだと思っているから、いつの日か必ずね」と続ける。