森保ジャパンは「出来過ぎ」だったのか?
決勝トーナメント進出を確定させたことで、グループリーグ最終戦のウズベキスタン戦は大きくメンバーを入れ替えて臨むことになるだろう。オマーン戦までに酒井宏樹や南野、堂安、権田修一といった主力がすでにイエローカードを1枚もらっており、決勝トーナメントでの出場停止を避けるためのリスク管理も必要になる。
例えばイエローカードをもらっている堂安と南野を温存しても攻撃のクオリティを保つため、2列目に原口元気だけは継続して起用するとすれば、勝っている状況で早めにその原口を下げて、乾貴士を試すなどの選択肢はあった。他のポジションにも出場機会に飢えている選手がたくさんいる。
彼ら現時点でのサブ組には勝ち負けがそれほど大きく影響しない3戦目で出番があるにしても、2試合連続で難しい展開になってもチャンスを与えられなかったことで何を思うだろうか。表には出さないにしても、モチベーションに影響が出ているかもしれないし、フラストレーションを溜めている選手もいるかもしれない。たった数分でも新たなオプションを試すチャンスを無駄にしてしまったという見方もできる。
森保監督は記者会見で多くを語らず、特にオマーン戦後は相手国の記者から主審に関する質問が出るなど時間が足らず、これらの采配に関しての質問をぶつけることができなかった。そのため指揮官の真意を推しはかるのは非常に難しい。もちろん「間違っていた」と断定することもできない。
華やかな2列目の攻撃ユニットなどにも大きな注目が集まり、発足以降負け知らずで脚光を浴びた森保ジャパンは「出来過ぎ」だったのだろうか。あるいは決勝トーナメントに向けて手堅く勝ち点を積み重ねる中で何かを隠しているのか。
森保ジャパンはターニングポイントを迎えている。試合の流れの変化やチーム状態に応じてゴールへのアプローチを変えながら戦うことのできる成熟した集団なのかが、これからの試合ではよりシビアに問われてくる。
次の相手であるウズベキスタンはグループリーグ第2戦でトルクメニスタンから4ゴールを奪って圧勝しており、グループ内で最も手ごわいチームであることに疑いはない。決勝トーナメントに進めば、今大会最強と目されるイランや、ソン・フンミンが合流してくる韓国、さらにはオーストラリアやカタール、中国など実力国が立ちはだかる。もちろんそういった相手も日本代表のロシアワールドカップ以降の勝った試合や引き分けた試合、豊富な材料を隅から隅まで研究して徹底した対策を練ってくる。
果たして今の日本代表に彼らと渡り合って、勝ちきれる力があるだろうか。どこからか漂うモヤモヤとした停滞感をどう払拭していくか。森保監督のチームマネジメントを注意深く見極めていかなければならない。
(取材・文:舩木渉【UAE】)
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