2試合連続で交代枠を使い切らず
「結果を見れば1-0で後半苦しくなったので、前半に3点、3点決めなければいけなかったと思います。僕らがもらったPKも、向こうが取れなかったPKも、どちらも運があった」
吉田麻也はそう語る。必ずしも理想的ではない試合展開。特に後半はチーム全体のテンポが落ちて、攻撃は停滞した。明らかな変化を目の当たりにして、記者会見に出席したオマーン人記者から「後半、日本はあまりチャンスを作らなかった。あのままの状態をキープして、ゴールを狙わず1-0のままで大丈夫ということだったのか?」と直球の質問が森保監督に飛んだほどだ。
その問いを受けた指揮官は「無失点に相手を抑えながら我々は追加点を奪いにいこうと選手には話していましたし、選手も次の1点を取りにいくことは考えてくれていたと思います」と無難にかわしたが、試合の流れが刻々と変わっていく中でゴールを奪うためのチャレンジに乏しかったのではないか。
森保監督は56分に北川航也を下げて武藤嘉紀を投入。最初の交代枠を使ってFWを入れ替えているが、その後はベンチの横で試合を静観していた。2人目の交代は約30分後の84分、右サイドMFを堂安律から伊東純也に代えた。
結局、交代枠を1つ余らせたまま試合を終えている。グループリーグ初戦のトルクメニスタン戦では交代を1人しかせず、2試合連続で枠を使い切らなかった。そこには森保監督なりの戦術的な判断などがあるにせよ、停滞する流れを変えるようなアクションをベンチから起こしていないことには疑問が残る。
オマーン戦の2人の交代はポジションの同じ選手を入れて特徴に変化をつけるのみで、具体的にチーム全体の戦い方を大きく変えたわけではない。前半はディフェンスラインから相手ブロックの裏を狙ったロングパスが効果を発揮していたが、冨安健洋の感覚ではあれすら「相手に蹴らされている感覚があった」という。
チャンスはできていても、前半からモヤモヤしたものを抱えながらプレーしていて、後半はそのロングパスも警戒されて激減した。当然ながら交代が全てではないが、相手が前半よりもカウンター狙いで守備に軸足を置いてくる中で、追加点を奪って試合を終わらせるためのアクションがあってもよかったかもしれない。