オマーンのCKには要注意
また、基本的にボールを運んでセレハともコンビでクロスに持ち込むアル・ブサイディと対照的に、右のアル・ムフタニはかなり見境なくボールを持ったらクロスを蹴り込んでくる。その多くは吉田麻也や酒井宏樹が跳ね返せるはずだが、その直後には必ずセカンドボールが生じるため、トルクメニスタン戦のようにボールの回収がうまくいかないと、二次攻撃からサレハやアル・ハルディの危険なミドルシュートなどが飛んでくる覚悟をしないといけない。
そうした攻撃に加えてオマーンが武器にしているのは迫力のあるカウンターだ。ピム監督は丁寧なビルドアップからのサイド攻撃を植え付けているが、一方でボールを奪った時に相手陣内に有効なスペースがあれば素早く縦を突く意識も組み込んでいるようだ。
よく中東に見られがちなのは一発のロングパスから前線の1、2枚で攻めきってしまう形だが、オマーンの場合は3、4人がスプリントして絡むことで迫力を出し、残ったディフェンスが的を絞りにくい状況にしている。日本がボールを保持して押し込むような展開になっても、そうした攻撃の備えはしておく必要がある。
また終盤の勝負どころにはウズベキスタン戦で得点を決めた長身FWのムフサン・アル・ガッサニ、俊敏なモハメド・アル・ガッサニといった特徴のある選手を投入してくるはず。
もう1つオマーンの攻撃で気をつけたいのがCKだ。基本的に左のCKは右利きのサレハが、右のCKはレフティのアル・ハルディがインスイングのゴールに向かう軌道のボールを蹴る。ウズベキスタン戦ではサイズで上回る相手に対して多くはオマーン側がゴール前で触っており、惜しいシーンが何度もあった。
2015年の“なでしこトレイン”のような縦並びから、一番前の選手がニアに、最後尾の選手がファーにタイミングよく動き、中央に残った選手に合わせる形はウズベキスタンをかなり混乱させていた。
ちなみにターゲットマンの1人であるセンターバックのモハメド・アル・ムサラミはAFCの公式データなどでは173cm、ウェブで調べても175cmなどとなっているが、実際ウズベキスタンの182cmのMFオディル・アフメドフとマークの関係になっており、遜色ないサイズ感なので、おそらく誤った情報だろう。
(取材・文:河治良幸【UAE】)
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