武藤以外のオプションは?
オマーンはトルクメニスタン以上に堅守速攻を研ぎ澄ませたチームと目される。それだけに、中央攻撃一辺倒になったら必ずや足元をすくわれる。武藤はボールを収められるところでは収めるべきだが、相手守備陣の網に引っかからないように球離れを早くし、サイドを広く使った攻めを意識するべきだ。
南野や堂安が突っ込んでくるスペースを作るのも重要なタスク。武藤が森保ジャパンで生き残ろうと考えるなら、こうした仕事を1つ1つキッチリこなしたうえで、ゴールに絡む明確な結果を残すことが強く求められてくる。
森保監督は武藤以外のオプションも頭に入れているはず。その1つが北川の1トップ起用だ。が、トルクメニスタン戦のパフォーマンスを見る限りでは、大役を任せるのは少し酷かもしれない。となれば、原口と南野を中央で2トップ気味に入れて、左に乾、右に堂安、あるいは伊東純也(柏)を配置するというゼロトップのような形など、異なるオプションを模索した方がいい。
初戦で冨安をボランチ起用し、柴崎岳(ヘタフェ)との距離が開きすぎて中盤のプレスが甘くなったように、新コンビがいきなり機能するとは限らないが、あらゆる可能性を視野に入れなければ「大迫負傷再発」という絶体絶命の危機は克服できないのだ。
オマーン戦では、日本を熟知する敵将、ピム・ファーベク監督をも驚かせるようなチームマネージメントを指揮官には見せてほしい。伏兵が次々と活躍して、総力戦でタイトルまで上り詰めた2011年カタール大会の再現を果たすべく、森保監督の際立った采配力と大胆さを今こそ期待したいものだ。
(取材・文:元川悦子)
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