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日本代表 6年前

“大迫の代役”問題、アジア杯2戦目にして直面。武藤嘉紀、今こそエースとの差を埋める時

text by 元川悦子 photo by Getty Images

ロシアでの挫折、イングランドで得た自信

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武藤嘉紀【写真:Getty Images】

 幸いにして、指揮官が西野朗監督に交代し、2018年ロシアワールドカップにメンバー滑り込み。ポーランド戦(ボルゴグラード)で念願だった先発出場の機会をつかんだものの、肩に力が入りすぎて、全ての判断に微妙な狂いが生じ、肝心な決定機も逃した。「あの時は点を取れるチャンスがあったにもかかわらず、決めきれなかった。自分の力のなさだと思う」と武藤は反省の弁を口にした。大会後しばらくは、大きな失望感と挫折感、悔恨の念にかられる日々を送ったに違いない。

 その後、イングランド・プレミアリーグにステップアップ。日常の環境は大迫より上と言ってもいい状況になった。目下、クラブのポジションはトップ下がメインだが、ゴール寄りの位置という意味では代表の1トップに近い役割を経験できている。マンチェスター・ユナイテッド戦でのゴールを含め、大きな自信も手に入れた。「もう大舞台でも緊張しないメンタルをつかんだ」と言うだけに、それを森保ジャパンに持ち込めれば、オマーン戦は全く問題ないはずだ。

 懸念材料があるとすれば、堂安律(フローニンゲン)や北川航也(清水)ら新戦力との実戦でのプレー経験が皆無なこと。南野拓実(ザルツブルク)とはハリル時代の2015年に何度か顔を合わせてはいるが、やはり連係が確立されたと言える領域には達していない。

 彼らとの関係が希薄な分、原口元気(ハノーファー)や乾貴士(ベティス)らロシア組とは協力体制をより強固にしていく必要がある。11日の練習でも武藤は原口と話をするシーンが繰り返し見られたが、それも「自分たちロシア組が大迫不在の苦境を何とかしなければいけない」という強い自覚の表れだ。

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