やはり最大の課題は…
第5フェーズ(61分〜75分)
(図6)サイドチェンジでフリーの原口元気を使う場面の一例【写真:YouCoach】
後半の半ばの時間帯は日本がほぼ試合をコントロールし、相手を困難な状況に追い込んだ。
継続的なサイドチェンジから原口が度々フリーになり、彼の持ち味のドリブルとゴールエリア付近のゲームメイクのうまさをより活用できたことが要因だろう(図6)。そして、日本は71分に堂安が3点目を挙げて3-1とリードを広げた。この1点によって試合を簡単に終わらせることができるはずだった。
第6フェーズ(76分〜90分)
(図7)PKに繋がった場面でポゼッションに参加していない槙野智章【写真:YouCoach】
3-1で迎えた試合終盤も、日本代表の試合運びには不安要素が残されたままだった。日本の守備の問題点が残ったままであり、トルクメニスタンはオフェンス陣へのアプローチのアグレッシブさに欠く日本DFやディフェンス陣が与えたスペースをうまく利用していた。78分には中盤でボールを失ったところからカウンターを食らい、最終ラインを破られてGK権田が相手にPKを与えてしまう。そして3-2まで追い上げられた。この失点に繋がる場面、日本がボールを保持している際に槙野はポゼッションに参加していなかった(図7)。
最後に、日本は持ち前のオフェンス陣のテクニックを武器に、攻撃における良いソリューションをいくつも披露していた。特に注目したいのは、選手全員が、森保監督が与えたアイディアを組織的なプレーで表現できること示したこと。しかし、日本の守備陣の問題点、「アグレッシブさの欠如」を森保監督は早急に解決しなければいけない。
(分析・文:アルベルト・ナビウッツィ【YouCoach/イタリア】)
▽著者プロフィール
アルベルト・ナビウッツィ
1979年10月20日生まれ、イタリア国籍。UEFA公認B級指導者ライセンス所持(2005〜)。かつてフィオレンティーナなどを率い、高度なサッカー戦術のエキスパートとして名高いセルジオ・ブーソ氏の下で修行を積む。アマチュアからプロクラブまで様々なカテゴリーの育成年代の選手たちを指導した経験も持つ。ジョバンニ・ストロッパ氏(現クロトーネ監督)などの下でも働き、現在はロベルト・ドナドーニ氏のスタッフとして試合分析官として活動中。 指導者サポートサービス「YouCoach」の創設者の1人。
【了】