かつてはストライカー。なぜCBに転向したのか?
遠く中東の地でアジアカップを戦っている森保ジャパンのメンバーでは、司令塔の柴崎岳(ヘタフェ)と右サイドバックの室屋成(FC東京)。1995年の監督就任以来、総勢29人もの教え子をプロの世界へ送り出してきた青森山田の黒田剛監督が、最大級の期待を込める選手がいる。
「身長が190cmを超えるセンターバックは、いまの日本代表でもいないですよね。足も速いし、能力的には最も日本代表に近いポテンシャルをもっている。海外へ行っても通用すると思っています」
指揮官の視線の先には身長192cm体重80kgのビッグサイズを誇る、センターバックの三國ケネディエブス(3年)がいる。ナイジェリア人の父と日本人の母をもち、東京都東村山市で生まれ育った逸材はプロになる夢をかなえるために、中学への進学とともに青森の地へやってきた。
小学生時代に所属した東京NOBIDOME FCでは、すでに180cm近かった高さを武器とする大型ストライカーとして活躍。青森山田中学でもポジションは変わらず、3年次の夏に出場した全国中学校サッカー大会では8ゴールをあげて得点王を獲得。チームを優勝へと導いた。
しかし、青森山田高へ進学し、1年あまりが過ぎたころには考え方に変化が生じてくる。卒業後にJリーグの舞台でプレーする姿から逆算したときに、どうしても自分自身の現在地とシンクロしなかった。
「2年生になる前の春の遠征では、フォワードとしてまったく結果を出せなかった。プロになる夢をかなえることを考えたときに、2年生から公式戦に出られないようならば厳しいと考えていたし、このままではダメだ、何かを変えようと思って。自分は身長もあったので、ならばセンターバックだ、と」