謎に包まれたトルクメニスタン
トルクメニスタンは、サッカーどころかどんな国かもベールに包まれていて外から見ていてもわからないことが多い。国土の85%が砂漠に覆われていながら、豊富な天然資源を有する旧ソビエト連邦構成国であることくらいしか、正直なところ知識はなかった。
トルクメニスタン滞在経験を持つある外国人記者は、「道はとても広いのに誰も歩いていなくて、高層ビルがたくさん建っているのに誰かがいる様子もない。街並みは素晴らしかったけれど、まるで北朝鮮のようだった」と話していた。
実際、トルクメニスタンは永世中立国であることを掲げているものの、事実上の一党独裁体制で、「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれているらしい。観光ビザの取得も様々な条件がついていて、一般人がふらっと訪れるような国ではないようだ。
サッカーも謎に包まれている。国内リーグも代表チームも映像がほとんど手に入らない。昨年3月以降は先月までA代表活動の痕跡が確認されておらず、記録が残っている昨年の国際Aマッチはわずか2試合だけ。8日の記者会見でA代表のヤズグリ・ホジャゲルディエフ監督に「トルクメニスタンのサッカーはどのようなスタイルで、国内はどんな現状なのか?」と質問してみると、「インターネットで検索してみてください」とかわされてしまった。
「いや…検索しても出てこないんですよ…」という感情は抑えつつ、インターネットから手に入った最低限の情報を以下に記す。
トルクメニスタンの国内リーグは8チーム制で、首都アシガバートに本拠地を置くFKアルティン・アシルが現在5連覇中。同クラブのホジャゲルディエフ監督が、FIFAランキング127位のA代表の監督も兼任している。もちろんアジアカップに出場するチームの中心は国内組で、先述の強豪アルティン・アシルの選手が23人中11人を占める。
そんな中、面白い選手がいた。背番号8を与えられたルスラン・ミンガゾフである。彼は右サイドを主戦場とする、トルクメニスタンの押しも押されもせぬ大黒柱。国内組が大半のチームにおいて、数少ない海外組の1人で、現在はチェコ1部で首位を走るスラヴィア・プラハに所属している。
母国では16歳でFKアシガバートのトップチームに昇格してトルクメニスタン・スーパーカップ優勝を経験すると、17歳だった2007年から国内リーグ2連覇に貢献。2009年にラトビアリーグへ移籍してヨーロッパへと渡っていった。