ゴールチャンスの創造に不可欠な大迫
日本代表は5日から非公開練習に突入したため、大迫の現時点での状態はハッキリしない。ただ、本人は8日練習後のテレビ取材で「メディカルと監督と話して明日に照準を合わせてきたので、明日はしっかりピッチの上で(自分自身を)見せられると思います」と断言した。
昨年末に国内合宿入りした際も「優勝できる自信? もちろん(あります)。自分たちのやるべきことをしっかりやれば結果は付いてくると思う。自分たちの力を信じることが大事」とタイトル獲得への並々ならぬ意欲をにじませている。それこそがまさにエースの自覚だ。
長谷部誠や本田圭佑が去った今、彼が攻撃陣を引っ張らなければ、日本はアジア王者の座に返り咲くことはできない。そう熱望する男が重要な初戦を回避するつもりなど一切ないだろう。
大迫が最前線に陣取っていれば、2列目右の堂安、トップ下・南野の若手アタッカーはこれまで通りの推進力と機動力を強く押し出せばいい。ともにロシアで戦った原口もタテへのスピードや突破力を出しやすくなる。
中島翔哉がいない分、引いて守る相手をこじ開けるための工夫を凝らす必要があるが、大迫がしっかりとボールを収めて起点を作ってくれれば、リズムの変化や緩急は自然とつく。相手もその動きに翻弄されやすくなる。絶対的1トップの一挙手一投足がより多くのゴールチャンスを生み出すカギになるのは確かだ。
ただ、ケガが回復したばかりの大迫が90分フル稼働できる保証はない。決勝まで7試合を消化することを考えても、仮にスタメン出場した場合でもどこかのタイミングでベンチに下げる必要がある。試合当日の状態が芳しくなければ、ベンチスタートの可能性すらある。その時はここまで順調に準備を重ねてきた若きFW北川航也に命運を託すしかない。
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