南野が示すべき新エースの力
7日にイエメンを5-0で粉砕した優勝候補筆頭のイランを見ても、アズムンら攻撃陣がペナルティエリア外から積極的にミドルシュートを打ちにいき、そのこぼれ球を押し込んだり、コーナーキックに持ち込んで得点につなげるようなパターンが目立った。森保ジャパンの中で最もシュートセンスのある選手の1人である南野も、大胆かつ積極的なアタックをどんどん試みるべきだ。
シュートの跳ね返りやこぼれ球を拾われて、カウンターに持ち込まれるのは嫌な流れだが、周りには献身的に守れる選手たちが陣取っている。左の原口はハードワークが身上で、ロシアワールドカップでも凄まじい貢献を見せてくれた。
背後に陣取るであろう柴崎岳や吉田麻也、長友、酒井宏樹らロシアワールドカップ16強組の経験値と戦術眼も心強い材料。そんな彼らの援護射撃を信じて、南野と堂安の若い2人はゴールに突き進むくらいの思い切りを強く押し出したい。森保体制発足後5試合ではそれができたから、躍動感と推進力あるアタックを繰り出せた。その流れを新生ジャパン初の公式戦となるトルクメニスタン戦にも持ち込んでくれれば理想的だ。
「サッカーでは格下のチームが格上のチームを食うっていうのはよくありますし、しかも初戦で、僕らは絶対に落とせない試合になる。オーストラリアの敗戦から学ばなければいけないと思いますけど、僕らができるのは試合に向けていい準備をすることだけ。そこに集中していきたい」と神妙な面持ちでコメントした新エースに託されるものは少なくない。
とにかく今の彼にとって大事なのは、過度なプレッシャーを感じることなく、自然体で試合に入ること。そこに徹してくれれば、自ずと結果はついてくるはず。「本田圭佑や香川真司がいなくても日本攻撃陣は問題ない」という確固たる事実をアジア中に知らしめるべく、南野にはそのけん引役になってほしいものだ。
(取材・文:元川悦子【UAE】)
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