守備陣が抱える決定的な問題点
(図8)積極性に欠ける日本のディフェンスラインの動きがもたらす相手へのアドバンテージ【画像:YouCoach】
一方、主な日本代表の問題点は、持続的に柔軟性を持ってディフェンスラインを動かす能力に欠けているところだ。
ディフェンスラインを、持続的に柔軟性を持って動かすというのは、チームをコンパクトに保つということを意味する。日本代表のディフェンスラインは戦術理解に長けていることはわかるものの、躍動感と勇気という面で不足を感じる(図8)。
長期的に見ると、強豪国と対戦した際にチーム全体をコンパクトに保てているか、保てていないかで違う状況を生む可能性が出てくる。どのシチュエーションが一番危ないということはないが、強豪国はスペースを見つけてすぐに危険なシチュエーションを生み出すことができる。
チーム全体をコンパクトに保つということは重要だが、もしコンパクトさを失った場合にどのようなシチュエーションが起こり得るのか。
・ボールポゼッションを行なっている時、ディフェンスはポゼッションにあまり参加しない。
・相手陣内でボールを失った時にディフェンスは先にラインを下げ、相手にスペースを与えてしまう。
・相手がボールポゼッションを行なっている時、ディフェンスラインは予測して距離を縮めない。
では現状の日本のディフェンスフェーズはどのように成り立っているのだろうか。まず言えるのは、しっかりとオーガナイズされているということだ。[4-4-2]のフォーメーションに配置されたフィールドプレーヤー全員が守備に参加し、とても良く統制が取れている。南野が大迫と同じ高さまで上がってポジションをとり、最初の守備ラインを形成する。
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