59年ぶりのアジア制覇へ、ベストメンバーを招集
ベント監督の韓国に期待が集まるのは、試合の結果だけではない。選手たちは口を揃えて、指揮官の熱心さを語っている。試合に備える戦術トレーニングの緻密さはかつて経験したことのないほどの一級品であり、選手のメンタルケアにも力を入れるという。
ドイツ1部のアウクスブルクでプレーしているク・ジャチョルは「ベント監督から直接電話がかかってきた。『力になってくれ』と言われたんだ。監督からの電話で励まされたのは初めての経験」と選手たちへのフォローに舌を巻いた。
そうした改革を経て、KFAの積極的なサポートを受けながら最高のスタートを成し遂げたベント監督が初のメジャー大会に挑む。
無冠の歴史をもここで終わるか。韓国は1960年に自国で行われた大会で優勝して以来、59年間一度もアジアカップの優勝トロフィーを手にしたことがない。準優勝が4回あるものの、その度にあと一歩が足りなかった。2015年オーストラリア大会では、決勝まで無敗・無失点と破竹の勢いを見せるながら、決勝でオーストラリアと延長血戦の末、逆転負けを喫してしまった。
だからこそ今大会にかける意気込みは格別。戦力もほぼベストな状態で大会直前の成績やプロセスも満点に近い。ベント監督のアジアカップに期待がかかるもう1つの理由だ。
韓国はグループリーグでフィリピン、キルギスタン、そして中国と対戦する。格下の相手とはいえ、油断は禁物だ。
ベント監督もアジアカップの難しさをよく理解しており、ベストメンバーを招集した。セレッソ大阪の正守護神キム・ジンヒョン、2018シーズンに驚異の得点力を見せたガンバ大阪のFWファン・ウィジョ、鹿島アントラーズで不動のセンターバックとなったチョン・スンヒョンなど日本のファンにおなじみの選手たちはもちろん、ク・ジャチョルやキ・ソンヨン、イ・チョンヨンなどベテランもメンバー入りを果たした。
その中でも中心になっているのが、日本の読者にもよく知られるスター、ソン・フンミンだ。19歳でA代表デビューを果たした彼は、26歳になった現在、韓国にとっては不可欠な存在となっている。これまでの監督からも愛されてきた英雄は、ベント監督からも120%の信頼を得ていると言っても過言ではない。