長友佑都【写真:Getty Images】
アジアカップに向けて準備を続ける日本代表は5日、地元クラブと非公開の練習試合を行った。DF長友佑都はベテランらしく、負傷者続出の状況にも冷静だ。
テストマッチで3-0の勝利を収めたという日本代表。MF中島翔哉とMF守田英正が離脱となり、この日はDFの冨安健洋がボランチを務めたものとみられている。
いずれにしても、本来のポジションとは違う位置でプレーした選手がいることは明らかになっている状況で長友は、「僕が高校以来のボランチで出たりとかしましたけど…」とニヤニヤ。報道陣に「なんで笑っているんですか」と笑顔でツッコミを入れ、本題に入った。
「本来のポジションではないところでプレーをする選手はもちろんいる。でも、結局はその中で何も言い訳はできないんでね。日本代表で日の丸背負ってピッチに立つ以上は、どこのポジションであろうと、どんなコンディションであろうと、100%の力を出すことを心がけなきゃいけないし。うまくいかないときにもサポートできる、助け合えるメンバーがそろっていると思うんでね。全然問題ないかなと思ってます」
優勝した2011年大会のときは、「むしろケガ人が出ることで結束したってところはありましたからね」と長友。「(香川)真司がケガをしたり、松井(大輔)さんがケガをしたり。そういう中で彼らの想いというかね。そういったものを含めて、絶対優勝して報告したいというのがあった。実際に決勝はユニフォームをベンチに置いて戦ったし」と、以前の経験を振り返った。
追加招集されたのは、MF乾貴士とDF塩谷司だ。乾の追加招集について長友は「また騒がしいヤツがくるなって感じですけど」と笑顔。「でもね、そういう明るい彼がピッチ上だけじゃなくて、ピッチ外でも経験と明るさってものをもたらしてくれる。これはすごく大きいですよ。乾が追加招集されたとき、やっぱりワールドカップメンバーはざわつきましたもん、『来るか』と。それが彼が持っているパーソナリティでしょう」と語っている。
長友は後輩たちに「ギラギラしてワクワクした気持ちで戦ってくれ」とメッセージを送っている。「日の丸背負っているとか重圧を感じてしまうと、彼らのプレーができないと思うし、むしろチームのことだけじゃなく、この大会でステップアップするなんだっていうくらいのギラギラ感を持ってやってほしい」。
これは長友自身の経験からくる考えだ。長友は2011年、アジアカップ優勝を決めた直後に、チェゼーナからインテルへの移籍が決まった。
「2011年アジアカップ前に、僕がこのあとインテルに移籍するって言っても、誰も信じなかったと思うんですよ。だから、不可能を可能にしてくれる大会というか、ロケットのような速さでステップアップさせてくれる大会なんでね。個人のステップアップをこの大会でうまく利用させてもらうっていう部分を含めて、彼らにはそのくらいの意気込みでやってほしいと思います」
今回のアジアカップで「ロケットのような速さでステップアップ」する選手は現れるだろうか。日本代表の初戦は9日のトルクメニスタン戦だ。
(取材:元川悦子、文・構成:編集部)
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