かつてない発展のきっかけとなるか
16ヶ国から24ヶ国への出場国数拡大によって大会全体を通して見た際の質の低下を危惧する声もあるが、アジア全体のレベルが上がっているとすれば、合理的な決断だったと言えるようになるかもしれない。これまでアジアカップ出場権を獲得できず、規模拡大によって挑戦権を得た国々にとっては、欧米の流れを取り入れて成長してきた自分たちの実力を証明する絶好のチャンスが広がったと見ることもできる。
「多くの試合が非常に拮抗したものとなり、勝つか負けるかの差は細部のちょっとしたところにまで及ぶだろう」とはザッケローニ監督の予測だが、そうなれば大会全体の盛り上がりはこれまで以上のものになるはず。もちろん日本にとっても2大会ぶりのアジア制覇は決して簡単なことではない。
ちなみに日本がザッケローニ監督率いるUAEと対戦するのは、両国とも順調にいけば早くて準々決勝になる。両国は前回大会でも準々決勝で当たり、PK戦の末、日本が敗れた。かつての指揮官の前でその雪辱を果たす戦いができれば面白い。
4年前の悔しさを経験している選手たちに燃えるものはあるだろう。一方、森保ジャパンに2011年のアジアカップ優勝を経験している選手はほとんどいないが、その中の数少ないの1人、権田修一も恩師であるザッケローニ監督との再会を心待ちにしていた。
「やっぱりザックさんはホームのUAEなので、テレビもいっぱいやりそうですし、それを見るのも楽しみですね。どこで当たるのかわかりませんけど、そういうところで試合をできる可能性があるのもサッカーを長くやっていて、いいことだと思う。勝ちにいくのは当然ですけど、いろいろなことを楽しみながら大会をやっていきたいと思います」
UAEに限らずJリーグや日本に縁のある選手や指導者が数多く参戦し、彼らとの再会や活躍を楽しみに見ることができるのもアジアカップならでは。大陸全体のレベルアップとともに、馴染みのある選手たちの成長を感じられる有意義な大会になることを祈りたい。
(取材・文:舩木渉【UAE】)
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