「この契約はビジネス的には、ほとんど意味がない」
スーパーリーグによる「爆買い」は、ヨーロッパのトップレベルのリーグにも影響を与えている。テイシェイラなどは、シャフタール・ドネツク時代の多くのチームメイトたちのように、UEFAチャンピオンズリーグの常連クラブに移籍するだろうと思われていた。
だが、あのロマン・アブラモヴィチでさえも、移籍市場では対抗できなかった。今のところ、中国マネーに対抗できる「新顔」は、他に一人しかいない。
2番目に起きたのは、さらに多くのマネーがテレビの放映権料とスポンサーシップに投資されるという現象だった。これはサッカー界の運営団体にも追い風となる。
ジャンニ・インファンティーノがFIFAの会長に選ばれた際、彼に託されたミッションの一つは、不祥事によって発生した膨大な財政赤字を埋めることだった。そんなインファンティーノにとって、チャイナマネーの台頭は、まさに渡りに船だった。
事実、FIFAはアトレティコ・マドリーの株式の20%を所有する不動産企業、ワンダ・グループが、ガスプロムやビザ、コカ・コーラなどと共に、今後行われる四度のワールドカップにおいて、公式パートナーに加わったことを発表している。
マーケティング会社であれ、照明器具のメーカーであれ、あるいはEコマースの大手であれ、中国企業はサッカー界に膨大な資金をつぎ込むようになった。しかも大抵の場合は、相場よりもはるかに高い値段で、クラブや選手を購入している。
「この契約はビジネス的には、ほとんど意味がない」
ローワン・シモンズは、中国のメディア投資会社、CMCが結んだテレビ放映契約をこう評した。あまりに額が大き過ぎるために、利潤を出すことなどほぼ不可能だと指摘している。
「だが実際に得られる利益と投資した額の差額は、政治的なパイプを作るのに役立つ。中国企業によるサッカーへの投資は、すべて政治的な理由によって行われている。サッカー界の発展にどの程度貢献したかによって、長者番付の位置が決まってくるんだ」
中国サッカーの壮大な改革案には、習近平の人柄も反映されている。彼は国家に対する忠誠心を高めるという点でも、改革を推進してきたことが明らかになっている。