ドイツで手に入れた「鳥栖にいた頃にない感覚」
――確かに自分たちよりも実力で劣ると考えられているチームからだけでなく、アンデルレヒトやスタンダール・リエージュ、クラブ・ブルージュ、ヘントといった強豪からもゴールを奪っていますね。
「10得点していて、僕が唯一自分を評価できるのは、弱いチームから固め取りしているのではなく、いろいろなチームからゴールしていることだと思います。PKは自分でもらった1本しか蹴っていないですしね」
――左足でゴールの左からニアサイドのGKの脇の下を抜いた16節のアンデルレヒト戦(4-2で勝利)の得点は、今季を象徴しているようでした。相当気持ち良かったのではないですか?
「あれはまず入ると思って打っていなかったので、驚きの方が大きかったですけどね。でも、良い時はああやってうまくいくもので、ダメな時はいくらチャンスがあってもポストに嫌われたりするもの。今は自信もあって、結果がついてきているで良い方向に進んでいると思います」
――18節のスタンダール・リエージュ戦(1-1のドロー)の得点はベルギーのメディアでもかなり話題になっていました。GKまでかわして流し込む、あるいはDFをギリギリで剥がして決めるだけの状況を作り出すようなゴール前での冷静さや落ち着きが光るプレーは今季すごく多いですよね。
「そこはフランクフルトですごく磨かれたところですね。当時一緒にやっていた前線の選手たちは本当にシュートがうまくて、鳥栖にいた頃にない感覚がすごくあって。そこで自分の感覚が変わったと思います」
――その「感覚」とは?
「最前線と中盤では違うので、動きも違うし、今はゴールの近くでプレーできています。あまり引きすぎず前線に張っていたり、ディフェンスラインと駆け引きしたりして動き出せるようになりました。ボールを持った時も、パス優先というよりは自分でシュートを打つのを最優先に選択しているので、そこは変わったと思いますね」
――ゴール前の落ち着きは、まるで経験豊富なストライカーのようです。もちろん技術的に優れている部分からくる自信もあると思いますが。
「ペナルティエリア内なら、1人くらいは剥がしてゴールを奪える。確かに『落ち着いている』とよく言われるんですけど、自分では全然そう思っていなくて。特に何か考えてプレーしているわけでもないんですけど、周りの動きもよく見えていて、今は良い状態だと思います。ゴール前での感覚にはすごく自信があります」