堂安律は日本サッカーに何をもたらすのか
堂安はまだ若いが、誰とでもいいハーモニーを奏でられる多様性を備えている。しかも原口が指摘したように貴重なレフティーでもある。かつて本田圭佑が右サイドから数々のチャンスをお膳立てしたように、堂安もそういう仕事ができるはずだ。
「(優勝した)2011年カタール大会の(MVPを獲得した)本田さんみたいな結果が出せれば最高ですし、今まで誰もなかった色を出せるようにしたい」と堂安本人も意気込むだけに、アジアカップでも大いに期待できるだろう。
今回の国内合宿で、東京五輪世代のトレーニングパートナー6人に堂安がもたらす刺激も大きい。筑波大の三苫薫と順天堂大の旗手は97年生まれで堂安より年上、法政大の上田綺世は同い年だ。彼ら2人はポジション的にも堂安と重なる部分が多く、A代表基準と世界基準を肌で感じられる貴重な経験になっている。30日からは冨安健洋も合流するが、同じDFで2000年生まれの菅原由勢と小林は自分たちに何が足りないかを身をもって体感することになるだろう。
4年前のアジアカップ直前合宿でも、トレーニングパートナーとして帯同していたのは中島。彼が今、森保ジャパンの10番を背負っていることを考えれば、今回のトレーニングパートナー6人の中から大化けする者が出てこないとも限らない。
東京五輪世代にとって、堂安は先頭を走る身近な目標。その彼がアジアカップで何を残すかは非常に大きなポイントだ。弱冠20歳のアタッカーが残すものが大きければ大きいほど、日本サッカー界全体が活性化される。自分にはそれだけの価値があることを本人には強く自覚したうえで、ピッチに立ってもらいたい。
堂安は急成長の2018年を終え、どのような2019年を迎えるのか。最初の関門となるアジアカップを楽しみに待ちたい。
(取材・文:元川悦子)
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