引退を考えたのは夏頃
今季限りで21年間のプロ生活にピリオドを打つことを27日に発表した常勝軍団・鹿島アントラーズの闘将・小笠原満男。翌28日には引退会見にのぞみ「今シーズンを1年振り返ってみて、試合に出る機会が少なくなり、ピッチ上でチームを勝たせることができなくなってきた。そういう時が来たら身を引こうとは前から考えていた。ひざのケガが理由ではない」と改めて決断の理由を口にした。
周囲に意向を正式に伝えたのは、12月23日のFIFAクラブワールドカップ3位決定戦・リバープレート戦の後。だが、具体的に考え始めたのは、ベンチ外が続いた夏頃だったという。
「『今年が最後かな』という気持ちが芽生えてきた。その日が来ないように、少しでも長くピッチに立ち続けていたいと思いながらやっていた。正直、苦しかったけど、そこで感じたのが中田浩二(鹿島CRO)が見せてくれた姿であり、ヤナギさん(柳沢敦=前鹿島コーチ)が見せてきた姿であり、本田(泰人=解説者)さんたちが見せてきた姿。中田浩二も最後のシーズンはなかなか出場機会がなかったけど、練習を1日も休みことなく、最後の最後までやっていた。自分もそうあるべきだと思って、悔しさを押し殺してやりました」と小笠原は先に現役を仲間たちと同じように黙々とチームを支えることに徹した。
39歳になっても衰えない高度なクオリティと戦術眼があれば、他クラブで十分活躍できる余地はあった。現に同期の盟友・本山雅志(北九州)はそういう選択をした。実際、オファーも届いたという。
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