若手も台頭。ベテランが覚える危機感
「このアジアカップで個人的に活躍できなかったら、日本代表にもう呼ばれないだろうなと思っています。それは世間一般が考える年齢の部分。僕自身は『そんなの関係ねえ』って思っていますけど、実際には関係ある部分ですから」
長友はかつてないほどの危機感を口にした。確かにロシアの後、日本代表には世代交代の波が一気に押し寄せた印象だ。攻撃陣は様変わりし、守備陣にも冨安健洋のような20歳そこそこの若手も名乗りを上げてきた。
長友の左サイドバックはまだまだ人材不足ではあるものの、Jリーグで実績を積み上げている佐々木翔や山中亮輔に加え、2020年東京五輪世代の杉岡大暉らも急成長していて、追われる立場の長友に焦燥感が生まれるのも理解できる。
「ランニングしながら槙野(智章)とも真剣にそう話していた」と長友と同じ32歳の青山敏弘も神妙な面持ちでコメントしていたが、30歳超の面々は「本当にここで目に見える結果を出さなければ切られる」という覚悟を持ってこの場に来ているのだ。
そのベテランが圧倒的な影響力を示してくれれば、若手も彼らに引っ張られて一気にレベルが上がるはず。それで勝利という結果が出れば、森保監督にとっても理想的なシナリオのはず。こういった好循環を作るべく、長友には持てる力と経験値の全てを注ぎ込んで、自身2度目のアジア王者の座を力強く引き寄せてほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
【了】