今野の復帰がなければ…
昨季のJ1リーグを10位で終えたガンバ大阪。これまで数々のタイトルを獲得してきたな同クラブからすれば、不完全燃焼で終わってしまったシーズンであった。
再び上位へ。そんな思いを胸に、G大阪は今季開幕前、セレッソ大阪で指揮を執った経験を持つレヴィー・クルピ氏を新監督に迎えた。
しかし、同クラブは攻守において歯車がかみ合わず、リーグ戦開幕6試合勝ち星なしと低調なスタートを切ってしまった。第7節の対ジュビロ磐田戦でようやく初勝利を挙げたが、それ以降勝ち負けを繰り返し、安定して勝ち点を伸ばせない。結局、ロシアワールドカップによる中断期間の突入を、J1参入プレーオフ圏内である16位で迎える形となってしまった。
ロシアW杯による中断期間が明けても、G大阪の調子は一向に上がらず。そして、第17節、対清水エスパルス戦の翌日、クラブはクルピ監督の解任を決断した。
後任にはクラブのレジェンドでもある宮本恒靖監督が就くことになった。しかし、すぐに状況が好転することはなく、同監督就任後7試合でわずか1勝しか挙げることができなかった。いよいよ降格が、現実味を帯びてきたのである。
しかし、この危機的状況を一瞬にして変えてみせたのが今野泰幸、その人だった。
5月に負傷し、しばらく戦列を離脱していたベテランの復帰により、チームは急激に生まれ変わったのだ。第25節の川崎フロンターレ戦勝利から怒涛の9連勝を果たし、順位も一気に9位にまで回復。降格のピンチから一転、2節を残し残留を決めた。
また、この時期はアジア大会で得点王に輝いたファン・ウィジョや夏にレノファ山口から加入した小野瀬康介らも躍動し、攻守両面で本来の力を取り戻した。9連勝中は複数失点なしと、恐ろしいほどの安定感を発揮。最終節で柏レイソルに2-4で敗北を喫したものの、来季へ向け、いい形でシーズンを締めくくることはできたはずだ。
ただ、豪華な人材を揃えるG大阪からすれば、この結果はやはり受け入れがたいものだ。今野の復帰がなければ、J2に降格する可能性もあっただろう。来季こそは上位へ食い込みたいところである。