自らの居場所で意欲を見せるハリル
なんだかどこかで見たような話だ。
戦法は逆だけれど、日本代表でのストーリーによく似ている。このときハリル監督は、前任者の立場だったが…。
31歳のベテランDFニコラ・パロワなど、ハリル監督が着任してから出場機会を得た選手も数人いて、チームは徐々にハリル色になってきている。
「(着任以来)たくさんのことに進歩が見られていると感じている。ゲームの内容もよくなってきた。今日のPSG戦のような試合では、守備面でも非常に興味深い成果を見せてくれた。ただ、まだまだ改善すべきことはたくさんある。そしてこのチームにはまだ多くの伸びしろがある。私はどの部分を改善していけば良いかを把握している。後半戦はもっと良くなっていくと期待している」
と、指揮官は前向きに話した。
ハリル監督が、また自分の居場所で、意欲的に采配を振るっていることをうれしく思う。
W杯ロシア大会で、日本代表が決勝トーナメントに進出するという一定の目標をクリアしたことで、ハリル監督の話はすっかり聞かれなくなったが、彼を解任したことよりも、そのやり方は、代表監督を依頼した相手をリスペクトしたものではなかった。ハリル監督がショックを受けたのも、クビになったことではなく、クビの切られ方だった。
まだ心の中にあるものすべてを払拭できたわけではないだろうが(心なしか、会見で筆者の質問に対する答えの時だけ声のトーンが違った気がした;)、今は、前を向いて新たな一歩を踏み出している。
2005年にブーイングで追われたパルク・デ・プランスのファンに、温かい拍手で迎えられていたのは、なんとも印象的な光景だった。
(取材・文:小川由紀子)
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