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セリエA 6年前

ロナウドは極めて強力、だからこそ浮かぶ懸念。ユーベを追い詰めた相手の緻密な戦術とは?

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

アタランタが狙った場所は?

 狙い撃ちにしたのは、ユーベの中盤の底。普段ならレジスタのミラレム・ピャニッチが鎮座し、プレスによって奪ったボールを右に左に切り替える。こうしてサイドに開いたロナウドやマリオ・マンジュキッチ、あるいはパウロ・ディバラにボールが入り、攻撃へと進めていく。その前に繋がりを断とうという算段である。

 ガスペリーニ監督はここに、意外な人物をぶつけてきた。普段は左サイドを主戦場とするドリブラーのアレハンドロ・ゴメスを、あえて中央に配置したのである。守備の際は果敢にチェックに行き、攻撃の手を詰まらせ、逆にボールを奪えばヨシップ・イリチッチとともにここで仕掛けさせるという算段だ。もっともユーベは、温存を目的にピャニッチを先発から外してくるのだが 、アタランタのゲームプランに変更はなかった。そして、それは奏功した。

 ピャニッチの代わりに中盤の底を務めたのはエムレ・ジャンだったが、彼がボールを持つとそこにゴメスがプレス。そして苦し紛れにパスを出させ、また逆に切り替えた時に、サイドではなく中から引っ掛けさせた。

 シーズン序盤、ユーベは気持ちよく左サイドを攻め立て、クロスで相手のオウンゴールも誘う。だがそれは、アタランタにとっては想定内。クロスに対しては中央の守備を整え、あえて上げさせ中で弾くという守備を続けた。その分レジスタには動きの自由を取らせず、中盤の底からの展開を潰した。逆に言えば、ユーベは左サイド以外のレーンで攻撃を組み立てることができなかった。

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