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Jリーグ 6年前

町田を駆り立てた「絶対に変えてみせる」という一念。ピッチでの奮闘が切り開くJ1への道

text by 藤江直人 photo by Getty Images

町田の未来へ伸びる希望

 Jリーグ側も12月の月例理事会で、Jリーグクラブライセンス制度のスタジアム基準に関して、一定の条件下で猶予期間を認めることを承認した。例外規定のひとつに「着工しており、3年以内に完成可能であれば上位ライセンス取得可能」(原文のまま)があり、まさにゼルビアが当てはまる。

 つまり、早ければ2020シーズンからのJ1昇格が可能になる。視界が一気に良好になった状況にも、深津は「ハングリー精神を忘れてはいけない」と力を込める。深津自身、ゼルビアがJFLを戦った2009年と2010年は、下川会長が創設したメインスポンサー、イーグル建創の社員を務めながら生計を立てた。

「太陽光発電の営業をずっと担当していました。家のチャイムを押して『太陽光発電はいかがでしょうか』とずっと回っていました」

 苦笑しながらこう振り返ったことがある、当時のゼルビアを戦った仲間たちはすでに誰もいなくなってしまった。苦しかった黎明期を誰よりも知っているからこそ、いま一度初心に帰るべきだと、歴代の先輩選手たちから託されたバトンに込められた思いを代弁する。

「ハングリー精神をもってきたからこそ、みんなゼルビアで一生懸命にサッカーをやってきた。だからこそ調子に乗ってしまうことが怖いし、その意味でも自信をもちつつも謙虚に、相手をリスペクトしながらチャレンジしていきたい。町田の未来へ向けて、これからは上がっていく一方だと思うので。僕自身も楽しみながら、無駄なことをせずに、できるところまで現役で頑張って悔いなく終わりたい」

 そして、来シーズンも指揮を執ることが決まった相馬監督も青写真を描き直す。現状では味方のゴールをアシストし続けたMF平戸太貴が期限付き移籍を終えて鹿島アントラーズに復帰する一方で、今シーズンはFC東京へ期限付き移籍していたFW富樫敬真が、横浜F・マリノスから完全移籍で加入する。

「今年と同じだったら難しい。要は現状維持では今年と同じような成績は収められない。いろいろな意味で変化が必要だと考えています」

 早稲田大学でキャプテンを務め、関東大学1部リーグで得点王を獲得したFW岡田優希、小学生年代からゼルビアひと筋で育ったユース出身のFW橋村龍ジョセフらも加わる新体制は、満たされることのない飢餓感と未来へまっすぐに伸びる希望を車の両輪としながら、来年11日に始動する予定だ。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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