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Jリーグ 6年前

町田を駆り立てた「絶対に変えてみせる」という一念。ピッチでの奮闘が切り開くJ1への道

text by 藤江直人 photo by Getty Images

『まだ優勝する力はないよ』と言われた

 体力的に厳しくなる後半は、失点するリスクも高まる。ただ、実際にゴールネットを揺らされても下を向かずに、歯を食いしばってギアを入れ直す。愚直なチャレンジの積み重ねが、総得点62の約35%に当たる22ゴールを、75分以降に叩き込んできた軌跡に凝縮されている。

「今年のゼルビアは点を取られた後に、みんなで取り返すんだ、という気持ちが一段と強くなっている。そこが試合終盤における自信と、最後の最後まであきらめない姿勢につながっていると思う」

 深津が振り返ったように、90分の間に一度はビハインドを背負いながら、最終的に勝利もしくは引き分けで勝ち点をもぎ取った試合が10を数えた。ヴェルディ戦との最終節でも、失点から6分後の82分に得意とするセットプレーのチャンスを獲得。DF大谷尚輝のゴールで同点に追いついている。

 その後も波状攻撃を仕掛けるも、勝ち越しゴールを奪えないままシーズン終了を告げる主審のホイッスルが鳴り響いた。他会場の途中経過をすべてシャットアウトしていた相馬監督は、首位の松本、2位の大分もともに引き分けたという一報に苦笑いを浮かべるしかなかった。

「途中経過を知っていたら、何かができたというわけではないんですけど。最後で畳みかけ切れなかった、畳みかけさせてくれなかったところで、シーズンを通して見れば『まだ優勝する力はないよ』と言われたと思っています。松本さんも大分さんもそうですけど、プレッシャーがかかった状況で勝ちきることが容易ではないリーグが、我々が来シーズンも戦うJ2だと思っていますので」

 勝っていれば優勝を決められた状況で引き分け、勝利した横浜FCにも得失点差でわずかに上回られて4位で今シーズンを終えた。規定によりJ1参入プレーオフへの出場もかなわなかったが、2016シーズンの7位を上回るクラブ歴代最高位にたどり着いたターニングポイントをあげれば、敵地で敗れた4月28日のトリニータ戦になると相馬監督は言う。

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