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Jリーグ 6年前

町田を駆り立てた「絶対に変えてみせる」という一念。ピッチでの奮闘が切り開くJ1への道

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「野津田を満員に」。こみ上げる思い

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チーム最古参の深津康太【写真:Getty Images】

 大阪・北陽高校でインターハイを制覇した経験したもつ竹原社長は、同じ1960年生まれで、帝京高校サッカー部出身のゼルビア・下川浩之代表取締役会長とは旧知の間柄だった。ともに今シーズンからJリーグの理事を務めるだけに、顔を合わせるたびにエールを送ってきたのだろう。

 もちろん竹原社長としては、人事を尽くして天命を待つ心境から「町田を全力で応援」となった。残留争いに巻き込まれていた他のJクラブ関係者も然り。しかし、実際に現場で戦う側には、ニュアンスが微妙に異なった状態で伝わってくることが多かったのだろう。相馬監督が続ける。

「やはりどこかでモヤッとした、やるせないものが……おそらく選手たちは、先輩後輩を含めてもっと近い関係の選手や知人から『頑張ってくれよ』とか、あるいは『お前ら、そんなに頑張るなよ』と言われることがあったかもしれない。

 そういう言葉でエネルギーが落ちることもあったと思うんですけど、毎回のように気持ちを奮い立たせてピッチに立ってくれた。自分が同じ立場なら、同じことをできたかどうか。そう考えると選手たちには頭が下がりますし、本当に褒めてあげたい」

 自分たちは誰のために戦っているのか。こんな自問を繰り返しては、そのたびにプライドと誇りを心の奥底から呼び覚ましてきたのだろう。迎えた11月17日。ゼルビアは首位の松本山雅FCに勝ち点1ポイント差、2位の大分トリニータとは同勝ち点で得失点差で及ばない3位で運命の最終節を迎えた。

 親しみを込めて「野津田」と呼ばれる、ホームの町田市立陸上競技場に迎えた相手は、J1参入プレーオフ進出へのボーダーラインにいた東京ヴェルディ。スタンドは今シーズン最多、歴代でも2位となる1万13人で膨れ上がっていた。チーム最古参の34歳、DF深津康太は万感の思いで胸を震わせた。

「野津田を満員にすることが僕の夢、という感じだったので。グッとくるものがありました」

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