若手の成長が光った今季の湘南
J1復帰1年目の湘南ベルマーレが過ごした2018年は、満足いくものだったのではないだろうか。
曹貴裁体制7年目を迎えた今季の湘南は、最終的にリーグ戦を13位でフィニッシュ。激しさを増した残留争いに最後まで巻き込まれながらも、自力でJ1に残った。また、YBCルヴァンカップも制覇するなど、チームとして大きな自信がついた1年となったのだ。
すっかりお馴染みとなった「湘南スタイル」は、今季もその威力を存分に示した。ボールを失えば素早く切り替え、猛烈なプレスをかけにいく。選手たちは90分間走り続けハードワークを怠らない。湘南を表す同サッカーは、わかっていても対戦相手にとっては嫌なものとなった。
課題を挙げるとすれば、得点力だ。今季の湘南は、リーグ戦全34試合で複数得点を挙げたのはわずか11試合。そのため、先制をされてしまうと勝ち切れず、最高でも引き分けに終わるゲームが多かった。この点の向上が見込められれば、さらに上の順位につけることも可能だっただろう。
それでも、勝ち点41を稼いだのは守備陣の奮闘があったからだ。GK秋元陽太を中心とした堅い守備は、今季の湘南において最も光った部分でもあった。事実、リーグ戦10位以下のクラブの中では、サガン鳥栖に次いで2番目に少ない失点数(43)である。来季はこの長所を残しながら、得点力アップを目指したいところだ。
また、今季の湘南は新戦力の活躍も目立った。シーズン開幕前に加入した梅崎司は序盤戦こそコンディション不良により出場機会は限られたが、シーズンが進むにつれ、本来の力を取り戻した。ゲームキャプテンを務めるようにもなり、チームをJ1残留へ導いた立役者となった。
シーズン途中で加入した山崎凌吾も、すぐにチームにフィット。ポストプレーの上手さが際立ち、チームにおいて欠かせない存在となった。
そして、ルヴァンカップで出場機会を得た坂圭祐や金子大毅といった若手選手は、チームの主力となるまでに成長を果たした。さらには齊藤未月や石原広数、杉岡大暉など、昨季からチームに所属する若手選手も継続して活躍。これらの若い力は、今季の湘南においては重要なものとなっていた。とくに、ルヴァンカップ制覇は、限られた出場時間の中でもしっかり結果を残した若手選手のおかげでもあるだろう。
もちろん、若手を積極的に起用した曹監督の采配も称えるべきだ。来季は同監督体制8年目を迎える湘南。どんなシーズンを送ってくれるのか、期待は高まるばかりである。