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柴崎岳、今冬ヘタフェ退団か。4ヶ月ぶり先発…現地直撃取材で解き明かす歴史的快進撃の裏側

スペイン1部のヘタフェに所属する日本代表MF柴崎岳は、なかなか出場機会を得られていない。そんな中、15日のリーグ戦で突如スタメンに抜てきされた。指揮官はこの起用にどんな意図を込めたのか。そして柴崎の置かれた状況は変わっていくのか。現地取材でアジアカップを控えた司令塔の現状を読み解く。(取材・文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

4ヶ月ぶり先発起用のサプライズ

柴崎岳
柴崎岳は15日のレアル・ソシエダ戦に先発出場。約4ヶ月ぶりのスタメン起用だった【写真:Getty Images】

 誰もが手渡されたメンバー表を見て驚いた。15日に行われたラ・リーガ第16節、ヘタフェのスタメンの欄に「10」と「GAKU」という文字が並んでいたからだ。

 ヘタフェにとって、このレアル・ソシエダ戦は後半戦に向けて試さなければいけないことがあった。直前のレガネス戦でアマト・エンディアイエが右ひざ前十字じん帯断裂の重傷を負ってしまい、手術を受けた末に今季中の復帰が絶望的であると発表されていた。

 左サイドで崩しの核を担っていたキープレーヤーの想定外の離脱によって、代役を見つける必要に迫られた。ホセ・ボルダラス監督もレアル・ソシエダ戦に向けた前日記者会見の中で、アマトの長期離脱について「重要な選手だったの大きな痛手。彼は常に試合に出ていて、昨季も重要な存在だった。他の選手でできるだけ穴埋めできると願っている。彼を失ったことはバッドニュースだ」と述べていた。

 だからこそ、ソシエダ戦で左サイドに誰が入るのかは1つの注目ポイントだった。前日まではボルダラス監督の愛弟子とも言えるフランシスコ・ポルティージョがアマトの代役の最有力候補と見られていた。

 アマトと同じくサイドでのプレーを得意とするイバン・アレホは負傷離脱中、ロベルト・イバニェスは戦力外同然の状態。前線のマルチプレーヤーとして重宝されてきたアンヘル・ロドリゲスは、普段ホルヘ・モリーナと2トップを組んでいるハイメ・マタが出場停止の影響でストライカーとして先発するというのが大方の予想。ここまで柴崎岳は「左サイドの選手」として競争に割って入ってくるとは思われていなかったのである。

 だが、蓋を開けてみれば柴崎が左サイドで先発起用された。リーグ戦では開幕戦のレアル・マドリー戦以来16試合ぶり、期間にして約4ヶ月ぶりの先発出場だ。そしていきなり、開始3分に見せた相手ディフェンスラインの裏への飛び出しがホルヘ・モリーナの先制ゴールにつながった。柴崎は対峙した右サイドバックの背中からゴールに向かって走り、モリーナからのスルーパスを呼び込むと、GKの鼻先でシュートを放つ。そのこぼれ球を36歳のエースストライカーが押し込んだ。

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