C・ロナウドの欠かせない相棒に
アタランタから獲得されたブライアン・クリスタンテ、そして現在急成長中の19歳ニコロ・ザニオーロが躍動し、強力なことで知られるユーベのプレスをかわしてローマは正確にパスをつないでいく。ルーズボールは拾われ、中央ではセンターバックや守備的MFがが吊り出される。するとそこに、体を張るのがマンジュキッチだった。サイドはもちろんのこと、時にはセントラルMFのカバーに戻ってボールを奪うというシーンなどもあった。
現代サッカーにおいては、攻撃陣を3人前に置いて残りで守る、といった守備は通用しなくなっている。後方の7人だけでは数が足りず、守りきれなくなるからだ。その時、戻って中盤に手を貸す役割を担っているのがマンジュキッチだ。C・ロナウドは前線に残り、カウンターに備える。ユーベのマッシミリアーノ・アッレグリ監督は、このようにして攻守のバランスを取っていたのである。
かくしてユーベは、ローマの猛攻をしのぎ、1点のリードを守りきった。‘そして2試合を残して前半戦の首位ターンを確定させ、スクデット獲得の指標とも言われる『冬のチャンピオン』となった。
試合後、アッレグリ監督は「このチームの強みは、犠牲を払うこと。そしてそそれを、カッコ悪いことだと思わないことだ」と語った。その中でも人一倍献身的に動いて、戦術上の要求に応えているマンジュキッチは、まさにそのポリシーの中心にいる人物なのだろう。戦術的な順応が難しいといわれるセリエAで、CR7がすんなり順応することができた理由も、前線のパートナーの献身にあるのかもしれない。
なおこの日、C・ロナウドは不発。マークを外してシュートチャンスに絡む動きはさすがだったが、シュートはことごとくローマのスウェーデン代表GKロビン・オルセンに弾かれた。これまではリーグ戦、CLともにほぼ出ずっぱり。アッレグリ監督は「次節のアタランタ戦で休ませるかもしれない」と温存を示唆している。
(取材・文:神尾光臣【イタリア】)
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