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セリエA 6年前

ユーベの隠れた最重要人物、マンジュキッチ。C・ロナウドを支える汗かき役の存在意義

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

特異な形で殊勲の決勝ゴール

 当然のこと、C・ロナウドの加入で相手はスペースを埋めにくる。C・ロナウドとマンジュキッチが外に中にと位置を入れ替えることで、否が応にも相手の守備陣は吊り出される。そうして、広がったポジションを取らざるを得なくなるということだ。

 ただ、サイドに流れたポジションを取ってもゴールに絡めるのがマンジュキッチの強み。先制点はまさにその特徴が活かされていた。デ・シーリオが右サイドでボールを奪うと、ファーサイドでクロスボールを呼び込んだ。

 この際、中央にはC・ロナウドが張っている。場合によってはMFも一人中に走りこんでくるから、中央のセンターバックは中を空けることはできない。その場合はサイドバックが絞って対応することになるのだが、背後から侵入してくる相手FWの動きを頭に入れて動くのは難しい。

 マンジュキッチは、この形からゴールに絡むことを得意としていた。マークについていたローマの右ウィングバック、ダビデ・サントンは、インテル時代からアウトサイドから中に絞った相手FWをマークするのを不得手としていた。そして右クロスが入ると、マンジュキッチはサントンの背後から急に前に出て、相手よりも先に頭を合わせた。

 機先を制したユベントスだったが、後半は一転しローマの猛攻を食らった。故障者が続出する中3-5-2のシステムを取って守備のバランスを取っていたエウセビオ・ディ・フランチェスコ監督は、俊足で技術の高いユスティン・クライファートを投入。そしてシステムを4-2-3-1に変更し、勇気を持って攻撃を仕掛けるようチームに説いた。前半まで試合の主導権を握っていたユーベは、逆に自陣から前に出られなくなるくらいに相手に押し込まれた。

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