南米王者が見せた「1点」への執着
ただ、曽ヶ端は急にやってきた出番にも動じることなく鹿島のゴールマウスに安定をもたらす。選手のポジションチェンジや、それによってできたギャップを突いてチャンスを量産してくるリーベルに対し、25分には鋭い読みでフリーとなった相手との1対1を制して決定機を阻止。33分には壁の上を越えてくるフリーキックを弾き出し、直後のコーナーキックでも果敢なパンチングでピンチの芽を摘んだ。
確かに最終的なスタッツを見てもシュート数は鹿島とリーベルで13:19と0-4というスコアほどの差はなく、鹿島にもチャンスはあった。では、何が4点差という残酷な結末をもたらしたのか。戦術や選手の技術的な質ではない、精神的な側面、ゴールへの執着心が勝負を分ける1つの要素になった。
鹿島はリーベルより先にゴールを奪っていてもおかしくなかった。11分には遠藤康が蹴った右コーナーキックから、ファーサイドでチョン・スンヒョンが詰めてゴールラインテクノロジーでの確認を要するギリギリの局面を迎えた。韓国代表DFのシュートは至近距離でもなんとか失点を防ごうとしたベテランGKヘルマン・ルクスの右手に阻まれて、ゴールラインを越えることができなかった。
14分にセルジーニョの左足から放たれたミドルシュートも横っとびで懸命に左手を伸ばしたルクスに弾かれた。44分のゴール前の混戦で安西幸輝が放ったシュートはクロスバーに嫌われた。後半になって62分には土居聖真がペナルティエリア左に侵入し、DFを1人かわして右足を振り抜くが、至近距離からのシュートをまたもルクスのセーブに阻まれた。
結局、鹿島は12本のシュートのうち枠内に飛ばしたものは3本のみ。3本を枠に当てた。一方、リーベルは枠に当てしまったシュートは1本もなく、19本のうち12本のシュートを枠に入れた。最後の最後までゴールへの執着心を失わなかったことで、後半アディショナルタイムにも追加点を挙げての大量4得点につなげた。
守備でも一切手を抜かなかった。鹿島の選手たちももちろん体を張っているが、リーベルの選手たちも、ルーズになりがちな終盤の時間帯でも集中を切らさず、シュートのみならずクロスにも進んで体を投げ出した。とにかくきわどいシュートやクロスにも必死に食らいつき、「1点も与えない」という固い決意が感じられた。