夏場の大型補強がすべてを変える
シーズン開幕前にジョー、ランゲラックといった実力者をチームに加えた名古屋グランパス。そんな同クラブの2018シーズンのスタートは決して悪くはなかった。
開幕節の対ガンバ大阪戦を勝利で終えると、続くジュビロ磐田戦でも勝利。第3節の対湘南ベルマーレ戦ではドローに終わったが、開幕から3試合無敗で上位へ食い込んだ。
しかし、悲劇は第4節の対川崎フロンターレ戦から始まった。同試合を0-1で落とすと、以降は自慢の攻撃陣が存在感を失い、勝ち点の取りこぼしを連発。泥沼の14戦未勝利となり、順位も一気に最下位へ転落した。もちろん、サポーターからの厳しい声も多発した。
結局、ロシアワールドカップによる中断期間前に名古屋が稼いだ勝ち点はわずか9。この時点で、降格は避けることのできないものだと思われた。
そんな危機的な現実に直面した同クラブだったが、ロシアW杯による中断期間中の補強がすべての運命をひっくり返した。丸山祐市、中谷進之介、前田直輝、エドゥアルド・ネット、金井貢史。Jリーグでも屈指の実力を持つ選手たちを、短期間でチームに加えた。
これを機に、名古屋は連勝街道をひた走ることになる。第19節のベガルタ仙台戦で第2節以来となる勝ち点3をもぎ取ると、そこから怒涛の7連勝を達成。相変わらず失点数は多かったが、攻撃陣は面白いように噛み合い、それらの弱点を見事にカバーした。シーズン開幕前に獲得したジョーも大爆発し、断トツ最下位だったチームは、わずか1ヶ月あまりで14位にまで浮上。この勢いは、もはや止められなかったのだ。
ただ、今季のJ1リーグは例年以上に厳しい戦いとなっていた。どのクラブとも実力が拮抗しており、断トツの最下位と言えるチームはなかった。そのため、残留争いはより一層激しさを増したのである。名古屋も、その競争に巻き込まれたチームの一つ。最終節の対湘南ベルマーレ戦で勝利することができなければ、J1参入プレーオフに回る可能性を残すなど厳しい立場にあったのだ。
そんな運命の一戦は、2-2のドロー。他会場で磐田が川崎Fに敗れたため、15位で残留を果たすことができた。
自力での残留ではなかったが、シーズン序盤戦の成績を考えればよくここまで耐えたというべきだろう。名古屋が最終的に積み上げた勝ち点は41。そのうちの21ポイントは、あの夏場の7連勝によるものだ。あの大型補強がなければ、チームはJ2降格という憂き目にあっていかもしれない。