攻撃サッカーへの転換
昨季は11位でJ1残留を果たした北海道コンサドーレ札幌。迎えた今季、クラブは新監督にミハイロ・ペトロヴィッチ氏を招聘した。札幌はスタイルの大転換に挑戦することとなった。
昨季は四方田修平監督(現ヘッドコーチ)の下、堅守速攻のサッカーで粘り強く戦った。それが札幌というチームの色でもあったが、ミシャ監督の登場で新たな姿へと変貌を遂げた。新監督は自身の十八番である攻撃型[3-4-2-1]を導入。ボールを保持し、コンビネーションからゴールを目指す。川崎フロンターレから期限付き移籍で加入した三好康児や、浦和レッズ時代にミシャ監督の指導を受けた駒井善成が持ち味を発揮する中、他の選手たちも素早く適応していった。
“タイのメッシ”ことチャナティップはシャドーの主力を張り、元イングランド代表FWのジェイは周囲との連係を楽しんだ。下部組織出身の進藤亮佑、菅大輝といった若手も重要な戦力になった。また都倉賢はベテランの域に達しているが、新たな引き出しを見つけたかのように進化を遂げた。持ち前のパワーがさらに生きるという好循環の中でシーズンを過ごすことができた。
第15節・ヴィッセル神戸戦(0●4)、第26節・川崎フロンターレ戦(0●7)など大量失点を喫し敗れる試合もあったが、そうしたリスクはミシャサッカーにはつきもの。スタイルを180度換えているのだから尚更だ。強気の姿勢を曲げず、シーズンを駆け抜けたことをたたえたい。
最後までAFCチャンピオンズリーグ出場権を争った。最終的に4位でのフィニッシュとなったが、大成功のシーズンだったと言える。ミシャは選手たちを信じてこのサッカーを植えつけたはずで、選手たちもミシャについて行こうと決めていたに違いない。全員が同じ方向を見ていたからこそ、最高のシーズンを送ることができたのだ。