長崎にとっては残酷すぎるシーズン
V・ファーレン長崎にとっては難しい1年だった。昨季の明治安田生命J2リーグを2位で終えたことにより、クラブ史上初のJ1昇格を果たしたが、今季はトップカテゴリーの荒波に飲まれ、最下位でシーズンを終えてしまったのである。
今季のJ1リーグの残留争いは例年にないほど熾烈で、激しい競争だった。最終的な残留ラインは勝ち点41以上。どのクラブにとっても、このポイントを稼ぐのは簡単なことではない。それが、J1初挑戦の長崎に課せられたと考えると、あまりに残酷なシーズンだったと言うべきだろうか。
ただ、すべてを悲観的にとらえるべきではない。最下位でシーズンを終えたとはいえ、積み上げた勝ち点は30。これは、18チーム制になった2005年以降、最下位クラブが稼いだ最も多い勝ち点だ。この点を踏まえても、収穫はあったはずだ。
90分間ハードワークを怠らず、攻守の切り替えを素早くし、カウンターを狙う。最前線のファンマや鈴木武蔵にボールが収まれば、2シャドーの選手が果敢に飛び出し、攻撃に厚みを加える。こうした長崎の戦い方は、J1でも十分通用することを示した。開幕6試合は勝ち星がなかったが、第7節から第10節で4連勝を達成。以降も順調に勝ち点を奪い、ロシアワールドカップによる中断期間前は12位につけた。
しかし、ロシアW杯の中断期間が明けると、長崎は次第に勝ち点を奪えなくなってくる。なかでも8月の成績は非常に苦しいものとなっており、その月の7試合を1分6敗で終え、一気に最下位に転落した。最終的に、この期間の勝ち点の取りこぼしが、大ダメージを与えることになったのだ。
11月頭の時点で、長崎は残留を争う柏レイソルと勝ち点差4、名古屋グランパスとは勝ち点差5となっていた。この時点で残留は極めて難しい状況となっていたが、さらにこの状態を困難なものにしたのが、同じく残留を争っていたサガン鳥栖との直接対決だった。アウェイに乗り込んだ長崎は、鳥栖の粘り強い守備と原川力のゴールに屈し、敗戦。重要な一戦を落としてしまったのである。
以降、同クラブは黒星を喫し続け、2節を残して17位以下が確定した。J2の町田ゼルビアの結果次第ではまだ残留の可能性も残していた同クラブだが、町田がシーズンを4位で終えたため、その時点で降格が決定した形となった。