流れを引き寄せたファビーニョ、試合を決めたシャキリ
70分にジェルダン・シャキリを投入。スイス代表アタッカーは、ピッチに立った3分後に仕事を果たす。73分、マネが左サイドで1人かわしてボックス内に侵入し、クロスを送る。こぼれ球をシャキリが右足で決め、2-1と勝ち越しに成功した。
さらに80分にもシャキリが輝く。リバプールは自陣でボールを奪うと、ピッチ中央でシャキリが中継する。ダイレクトでボールを離すと、パスコースを作る動きでマーカーを引きつける。ボールは味方に渡り、シャキリはフリーになる。そして、マネからボールをもらうとボックス内に走り込んだフィルミーノに縦パス。フィルミーノとサラーのコンビネーションは成立しなかったが、これに反応したシャキリが左足を振り抜いた。3-1となり、勝敗は決まった。
10分間で2ゴールを叩き込んだシャキリは、素早くボールを離しては動き直すなど周囲との連係も良かった。味方を生かしつつ、勝負どころでは自身の力を発揮。与えられた役割をきっちりとこなしている。複数得点を奪うなど勝利に貢献し、データサイト『Who Scored』ではMOMに選出された。次点はファビーニョ。流れを引き寄せる働きは称賛に値するだろう。
リバプールはこの日36本のシュートを放っているが、これはユナイテッドの6倍だ。いかにホームチームが圧倒していたかは、この数字からもよくわかる。
単発な攻撃が多く反撃ムードも霧散したユナイテッドは、敗戦を受け入れてスタジアムを後にすることとなった。試合中、控えのフアン・マタはベンチコートに身を包んで寒さをしのいでいた。ようやく出番が回ってきた85分には勝負はついており、何かを起こすには時間が短すぎた。
勝ち点3を獲得したリバプールは、無敗を『17』に伸ばして首位をキープ。ナショナルダービーではあったが、力の差は明白だった。
(文:青木務)
【了】