1-1からギアを上げたのは、無敗軍団だった

　相手を押し込み、サラーやマネ、ロベルト・フィルミーノが鋭くゴールへ迫る。仮に攻撃が完結しなくても、後ろから味方が出てきてセカンドボールを拾う。特にファビーニョの存在感が印象的だ。ユナイテッドは好守が切り替わると、何とかして相手のプレスを潜り抜けるが、すぐさまブラジル人MFが寄せてくるため息をつけない。ファビーニョは相手に流れを与えず、自分たちにリズムをもたらしていた。

　そして24分、リパプールが先制に成功する。スローインのリスタートから中央のファビーニョが前を向くと、浮き球のボールを送る。斜めに走り込んだマネがトラップから左足で決めた。セネガル代表アタッカーの、マークの死角から侵入する動きも素晴らしい。それを見逃さないファビーニョも見事だった。

　また、スローインになるプレーも相手を困惑させている。速い攻撃からサラーがグラウンダーのクロスを供給。ユナイテッドはボックス内でカットするも、すぐにフィルミーノが詰めてきて、落ち着くことができない。何とか足を伸ばしてタッチラインの外に逃げたが、次のプレーでネットが揺れた。リバプールのスタイルはわかっているはずだが、成す術がなかった。

　それでも、ユナイテッドも一時は同点に追いついている。33分、ロメル・ルカクのクロスをGKアリソンがファンブル。ジェシー・リンガードが押し込み、試合を振り出しに戻した。

　ジョゼ・モウリーニョ監督のチームが反撃に出るかと思われたが、ギアを上げて勝負を決めたのはユルゲン・クロップ監督率いる無敗軍団だった。