フットボールチャンネル

鹿島のすべてを変えた男、安部裕葵の存在。いざ準決勝へ、プライドと意地が呼び込んだ勝利

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

すべてを変えた安部裕葵

安部裕葵
後半からピッチに立ち1ゴールを挙げるなど存在感を放った安部裕葵【写真:Getty Images】

 後半開始からわずか4分、鹿島はカウンターから永木亮太が得点を生みだし同点に追いつくなど、良い入りをみせた。この時点でグアダラハラのペースが落ちていたのは明らかであり、徐々に鹿島に流れが傾いていたのである。

 そして69分にはペナルティエリア内で土居が倒されPKを獲得。これをセルジーニョが冷静に流し込み、前半の劣勢から一転して逆転に成功した。

 後半からピッチに送り出された安部裕葵は、積極的な仕掛けと果敢な守備でチームに活気を与えた。同じポジションで先発出場していたレアンドロにはなかった動きでサイドを制圧し、随所に効果的なプレーを披露したのである。

 大岩監督はここで一気に勝負を付けようと、土居に代え安西幸輝を投入。安部を2トップの一角とし、何度か良い形で崩せていた相手の右サイドを重点的に突く狙いを持った。

 その策が見事に的中したのが84分、左サイドでボールを持った安部が追い越してきた安西へパス。敵陣深くで切り返した同選手は再び安部にボールを預ける。シュートコースが完全に空いているのは見た背番号30は迷いなく右足を振り抜くと、ボールは見事な弧を描きゴールイン。途中出場の2人で崩し切った完璧な得点だった。

 終盤に1点を返され、何度か危ない場面を迎えたが、試合は3-2で鹿島が勝利を手に入れた。前半の戦いぶりからは予想できない白星。鹿島のアジア王者としてのプライドと意地が見られた、大きな大きな勝利だったと言える。

 安部の投入ですべてが変わったのは明らか。前半からハイペースを維持していたグアダラハラが後半に入り失速。そこを突くのには最適な選手であったことは間違いない。目に見える結果も残し、次のレアル・マドリー戦にも期待できる活躍を見せた。

 鹿島が目指すのはもちろん、クラブ世界一の称号を手に入れることだ。立ちはだかるのはヨーロッパ王者のレアル・マドリー。簡単な相手ではないが、勝つだけの力は持っているはず。世界を驚かせてほしいものだ。

(文:小澤祐作)

【了】

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!