前半はいいとこなしの鹿島
早々にビハインドを背負った鹿島。できるだけ早い時間に1点を返したかった同チームだったが、グアダラハラの落ちることない勢いに立ち向かうことができず、消極的なプレーが続いた。何度か際どいシュートがGKクォン・スンテを襲い、いつ追加点を奪われてもおかしくはない。
鹿島は土居聖真、セルジーニョが2トップを組んだが、いずれの2人は試合から完全に消えていた。サイドのレアンドロも存在感を失うなど、攻撃陣は停滞していた印象だ。
昌子源、チョン・スンヒョンの粘り強い守備、クォン・スンテの好セーブもありなんとか前半を1失点で凌いだ鹿島。ただ、内容の悪さは深刻的だった。グアダラハラに終始ペースを握られ、打開策が見当たらない。セカンドボールをことごとく拾われ、カウンターもうまく決まらず。攻守両面で後手を踏んでいた印象が強い。
前半は鹿島の支配率46%に対し、グアダラハラは54%を記録。シュート数は鹿島の5本に対し、北中米カリブ王者は10本も放っていたのだ。45分間だけの出来を見る限りでは、鹿島に勝機はなかった。
しかし、後半の同チームはまったく違う色を出した。すべてを変えたのは、大岩剛監督が後半から送り出したあの男の存在だったのである。
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