「キエッリーニがいなければやられていた」
システムはお家芸の3バック。そして全体をコンパクトに保ち、狙い所を定めて激しいプレスと素早いカウンターを繰り出した。
前線の2トップはユーベのDFに猛烈なプレスをかけ、レジスタのミラレム・ピャニッチがボールをもらいに下がろうとすればそこにトマス・リンコンが張り付いてくる。こうして後方からの組み立てを阻害し、サイド攻撃の得意なユベントスに幅を取らせない。むしろ中盤の選手が密集する中央へと誘導させ、次から次にボールを刈り取った。
プレスで攻撃も限定しているから、C・ロナウドにマンジュキッチ、そしてパウロ・ディバラの前線を孤立化させることにも成功する。それぞれ連係を切られた相手に、トリノの3バックは勇敢にデュエルを仕掛けた。C・ロナウドから1対1でボールを奪っていくシーンも一度や2度ではなかった。
そしてそこから、素早いカウンターを繰り出していく。その際、前線のつなぎ役として機能したのがFWアンドレア・ベロッティだ。普段セカンドトップを務めるイアゴ・ファルケの故障により、普段前線の点取り屋として構える主将が戦術的に重要な役割を担った。
味方がボールを奪うと素早く中盤の位置に落ちてきて、ボールを受ける。そしてスペースへと自らが走り、またパスを回し、前線のつなぎ役としてカウンターを機能させていった。ユーベのDF陣に張り付かれても臆せず、むしろ逆に一人で彼らを振り回し、ボールを前に運んでいた。
もちろん攻撃陣には、ユーベの弱点を織り込み済みだ。比較的空きがちな両サイドバックの裏、またピャニッチの脇のスペースを集中して攻めた。セットプレーではゾーンを敷く相手に対し、フリーキックをファーサイドへ飛ばし、相手の守備を横に広げた上で中へと折り返すという攻撃パターンも用いていた。
後半になってからはますますペースを上げ、「(ジョルジョ・)キエッリーニがいなければやられていた」とアッレグリ監督が危惧するまでにユーベを追い込んでいた。