「身体が動く限りは頑張りたい」
トライアウトで見せたように、仙石はボールを円滑に動かし味方を輝かせることができる。「配球役だけ、潰し役だけでは今は厳しい。前に出て行かないといけない」と話す指導者もいるように、現代サッカーにおけるボランチの役割は多様化している。それでも、他者に負けない武器を持っていることは重要だろう。
仙石は持ち味を自覚しつつ、チームのためにという覚悟を語った。
「アンカーだったりちょっと下がり目のポジションがやりやすいというか、そこで周りを動かしながら自分も活かされていく、というのをやれたらいいなとは思います。でも、それは僕が決めることじゃないので。チームの特徴も考えながらプレーできるタイプだと思っていますし、どこでも、何でもやりますという気持ちです。カテゴリーも特に気にしていません」
2009年に柏のトップチームに昇格した仙石は、Jリーガーとして様々なクラブを渡り歩いた。2年後には30歳を迎える。人生の一つの節目であり、今後を考える時期だろう。
「先のことはもちろん準備しながら、でもそれはサッカー選手から逃げているということじゃなくて。選手を辞めた時に何が残っているかというのも大事。自分がすごく違いを見せられる選手、というわけではないのもわかっています。でも、大きな怪我もしたことがないですし、身体が動く限りは頑張りたいですね。『サッカーやれるうちはやれ』ってみんなで言っているので」
そう語って、仙石廉は会場を後にした。サッカーへの熱は冷めていない。
日本代表で活躍するのも素晴らしいことだ。そして、現役であり続けようともがく姿にも惹きつけられるものがある。仲間たちと再会した時、彼は現役続行を報告することができるだろうか。
(取材・文:青木務)
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