即席チームながら自然とボールが集まる
2018年12月12日、千葉県内のサッカー場。朝から降り続ける雨によって、人工芝のピッチ状態は決して良好とは言えない。スタッフが時折、グラウンド整備用のトンボで水をはかなければならないほどだった。
そうした状況を踏まえ、仙石はボールが止まらないよう強いパスを味方に送る。常に首を振り、自分と周囲の状況を確認することも忘れない。好天でしか力を出せない選手は戦力とは見なされないだろう。悪天候にアジャストし、普段と変わらずプレーすることが求められた。
その後、選手たちは天然芝のピッチに移動し11対11のフルコートゲームを行った。「みんな、芝の感触を楽しめたんじゃないかな」と話した仙石だが、彼も活き活きしていた。得意とするボランチで出場し、丁寧なパスを味方に送る。サポートの距離や顔出しのタイミングも良く、自然とボールが集まった。即席のチームながら、集団として効果的なプレーを引き出していた。
トライアウトに向けてコンディションを整え、「サッカーを続けたいという意欲を見せることが大事」との思いで当日を迎えた。「もうちょっと前にスルーパスとかも出せたら良かった」と振り返ったが、自身を表現できなかったかといえば、そんなことはない。
「普段の自分をしっかり出せるようにプレーしました。テンポを作る部分というのは見せられたと思いますし、今できるプレーは出せたんじゃないかなと」
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