トライアウトに参加した、酒井宏樹の同期
アジアカップに臨む日本代表メンバーが12日、発表された。サプライズはなく、新体制発足後の5試合で好パフォーマンスを見せた選手たちが名を連ねている。フランスの名門マルセイユで主力を張り、ワールドカップ2大会連続出場中の酒井宏樹も選出。この右サイドバックは、森保ジャパンでも代えのきかない選手だろう。
同じ日、一人の男が千葉県内のピッチを走っていた。雨に打たれながら、彼はキャリアをかけてボールを追っていた。
仙石廉は1990年生まれの28歳。国内有数の育成組織を持つ柏レイソルで育ち、2009年にトップチーム昇格を果たした。この年の柏U-18のメンツは強烈で、同い年の9人がプロになった。その中に酒井も含まれ、仙石とは同期となる。
プロ10年目の今季は栃木SCで出場機会に恵まれず、夏にはプロとして5クラブ目となるガイナーレ鳥取へ移籍。8試合に出場してシーズンを終えた。
「『やっぱりサッカーっていいな』って思うことができた。サッカーの楽しさを思い出せたのが良かったですね。試合に出ることが一番楽しいですから。栃木はJ2でいい戦いをしていたので、残ってチャンスを見出すよりも他のチームでチャレンジしたいと。鳥取に行ったことに対する後悔はありません」
プレーできる喜びを取り戻した仙石だが、栃木との契約が満了となり、来季の所属先がなくなった。そして、キャリアで初めてとなるトライアウト参加を決めた。
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